
こんにちは、Kanonです。今回は…

カミツキレイニー先生の『こうして彼は屋上を燃やすことにした』の感想記事です
あらすじ
「鳥肌モノ」と麻枝准が賞賛した、青春小説
「他に好きな人ができたんだ」
「い、嫌だっ」
彼氏のアメくんにフラれて生きる希望を失った私は、衝動的に学校の屋上へと向かう。身を投げるために。
けれどそこで私は、「ライオン」「ブリキ」「カカシ」と『オズの魔法使い』になぞらえて呼び合う奇妙な3人と出会う。みんな私と同じように死にたいと思っていて、だけど3人は「復讐してから死ぬんだ、あなたもそうしませんか」なんてあっけらかんと言う。
拍子抜けして、自殺する気がしぼむ私。そして、アメくんとの思い出に彩られていない唯一の場所である屋上へと、日々、私の足は向くことになる――。
「独特の空気感を纏ったジュブナイル小説(あえてライトノベルとは呼びません)。
オズの魔法使いに登場するキャラクター名で記号的に呼び合う仲間たちの物語なので、その空気が後半まで壊れない。
そしてそれを壊す時=その隠されていた登場キャラクターの名前が一気に明かされるシーンは、鳥肌モノでした」
と『CLANNAD』『AngelBeats!』の麻枝准氏が賞賛した、第5回小学館ライトノベル大賞・ガガガ大賞受賞作。
誰もが経験する恋愛の痛みを、こぼれ落ちそうな思春期の内面を描き切った、青春小説。
『こうして彼は屋上を燃やすことにした』カミツキレイニー ガガガ文庫 2011年5月23日 発行 より引用
こんな人におすすめ!
おすすめポイント
- ジュブナイル色の強いラノベが好きな人
- タイトルで承部分を語り、「で?結末は?」と思わせる系作品が好きな人
- 清々しい読後感を求めている人

以上のどれかに当てはまる人にはとてもおススメです!
ネタバレなし感想

twitterのネタバレなし感想はこんな感じでした。
以降はネタバレを含む感想になるので、嫌な方はブラウザバックをお願いいたします。
ネタバレあり感想
読後の爽快感具合は、ひとしお
まずタイトル。『こうして彼は屋上を燃やすことにした』ということで、「なんで?」と読者に思わせるところから始まります。
そしてこの作品の主人公は大好きだった男の子に振られて死のうとしている女の子「ドロシー」こと三浦加奈。
となると、「彼ってだれ?」ということになって、物語の序盤はその「彼」についてと、どうして屋上を燃やすことにしたのかを読まされます。
そのなかで、ブリキ、ライオン、カカシという記号で呼び合う関係の仲間ができ、彼らはそれぞれ悩みを抱えています。
その悩みを解決すべくドロシーは奔走することになるのですが、その過程では彼らの本名や関係性は明かされることがありません。
純粋に、彼ら・彼女らの悩みに共感しながら、応援する展開が続きます。
そして彼らとの絆が深まり始めたタイミングで、どうして彼が屋上を燃やすことにしたのか?が明かされ、ブリキ、ライオン、カカシの関係性も明かされます。
このタイミングで伏線が一気につながり、物語はクライマックスへ向かうのです。
「で、燃やした結果、どうなったの?」
という部分のネタバレはせず、ぜひあなた自身で確かめてください!
物語のテーマは?
さて、この作品ですが、いろんな見方ができると思います。
そんななかで私自身がこの作品を読んでどう思ったかというと、「出会いと別れを繰り返して人は強くなる」ということでしょうか。
この作品の登場人物たちはそれぞれが死にたいと思うほどの悩みを抱えているのですが、そのすべてが対人関係に端を発しているものです。
けれど、それぞれが今の人間関係に折り合いを付けて、新たな関係を築いていく過程を描いた作品だと思います。
この作品を読むことで、「自分の居場所はきっとどこかにある」と信じる勇気をもらえるはずです。
総評
麻枝氏がライトノベルと呼ばなかった理由が分かるような作品でした。
あと、「おや?」と思ったのが、この作品をライトノベルとした場合、珍しく女性が主人公の作品だなというところです。
自分がこれまでに読んだラノベの中で、女性が主人公の作品ってないような気がする…
カミツキレイニー先生、またこの手の作品書いてくれないかな…
以上、『こうして彼は屋上を燃やすことにした』 感想 レビュー ネタバレでした。