
こんにちは、Kanon です。今回は…

かつび圭尚先生の『問一、永遠の愛を証明せよ。』の感想記事です。

詳しく見ていきましょう。
あらすじ
その日、僕は告白するつもりだった。何度も僕に告白してくれた両片想いの後輩・朱鷺羽凪沙に。
屋上で二人きり、想いを告げてついに恋人同士になる――はずが、僕らは恋と愛を巡るゲーム「コクハクカルテット」に巻き込まれてしまう。
ゲーム中に恋愛が成就すれば「永遠の愛」が魔法の力で約束されるが、成就しない恋は「はじめから」なかったことに。つまり、恋をする前の関係に戻ってしまうのだ。
「僕は永遠なんて保証抜きに、好きな人と愛し合う過程を大事にしたい」
「永遠の愛が手に入らないなら、この気持ちを綺麗さっぱり忘れたいです」
そんな究極の選択を前に、僕はこのゲームを否定するために動き始める――。
『問一、永遠の愛を証明せよ』かつび圭尚 MF文庫J 2021年11月25日 発行 より引用
こんな人におすすめ!
おすすめポイント
- 頭脳戦な恋愛モノが好きな人
- 特殊能力が存在する世界での恋愛モノが好きな人
- きゃぴきゃぴした雰囲気よりもシリアスなムードの恋愛作品が好きな人

このどれかひとつにでも当てはまる人にはとてもおすすめです!
ネタバレなし感想

twitterのネタバレなし感想はこんな感じでした。
以降はネタバレを含む感想になるので、嫌な方はブラウザバックをお願いいたします。
ネタバレあり感想
恋愛×頭脳戦

本作の主な舞台は"コクハクカルテット"なるゲームです。
コクハクカルテットのルール
- 参加者にはランダムで決まる"スキル"と一発逆転の"切り札"の二つが与えられる
- 参加者は任意の"ターゲット"を決定する
- 与えられた能力を駆使して、"ターゲット"との交際を目指す
- 参加者は4人
- 一番最初に"ターゲット"と交際が決まったペアに"永遠の愛"が与えられる
- 交際が決まらなかった場合は"ターゲット"との関係性が『恋心が芽生える前』の状態にリセットされる

相関図はこんな感じ
相関図
主人公の美学
主人公・傑の哲学は、『永遠の愛を目指して努力する過程にこそ意味がある』です。
しかし、ヒロイン・凪沙は『過程をすっ飛ばしてでも、傑との永遠の愛が手に入るのならば構わない』と考えます。
傑と凪沙は両想い。
であれば、普通にいけば両想い同士の傑と凪沙が結ばれて、すぐにコクハクカルテットは終了するはず。
ですが、傑が自身の哲学を貫こうとするために、コクハクカルテットが複雑なものになっていきます。
傑は自身の哲学を曲げることができないがゆえに、自身のターゲットを凪沙ではなく愛華としますが…
永遠の愛が手に入らない場合、傑と凪沙の恋心は『恋が芽生える前』の状態に戻ってしまう。
という自身の哲学と凪沙への愛の狭間で、傑は揺れ動くことになります。
この感情の荒波に揺られる傑の描写がとても秀逸で、傑の心理にどっぷり没入させられます
表現力も高く、美しい文章が多い

お気に入りの文章をいくつか。
「別れよっか、私達」
そう告げて、朱鷺羽美凪は微笑んだ。
あまりにも想定通りの言葉に、僕は苦笑いを返す。
なんて、強がってみただけだ。
緊張でカラカラの喉に唾を流し込むと、ハッカの味が広がる。
涙が溢れそうだった。
『問一、永遠の愛を証明せよ』かつび圭尚 MF文庫J 2021年11月25日 発行 より引用

冒頭から引き込まれました。
ハッカの味っていうのがまた失恋の雰囲気とマッチしててよいですなぁ…
囁く声が、この空間で唯一の音が、僕を惑わせる。
まるで脳にキスをされたかのようだった。瞬時に何も考えられなくなる。
『問一、永遠の愛を証明せよ』かつび圭尚 MF文庫J 2021年11月25日 発行 より引用

こちらは主人公が悠乃に自室で誘惑されるシーン。
「脳にキスされたかのようだった」が蠱惑的な表現でエロいですね。
総評
今巻の結末としては、結局傑は永遠の愛を受け入れず、ふたりは『恋心を知る前』の状態に戻ってしまいます。
…が、ラストでは"コクハクカルテット"を通して得た"想い"のみが残り、 凪沙と傑は再び惹かれあう。
というところで終わります。
その後、ふたりが再び恋をして、今度こそ結ばれるのか…?は次巻に続くというところ。
ふたりが思いあっているにも関わらず、すれ違ってしまう展開が本当に切なくて寂しい気持ちにさせられます。
ハッピーエンドよりも、こういったビターエンドが好きな私のような人には刺さる作品かと思います。
以上、『問一、永遠の愛を証明せよ』の感想 ネタバレ レビュー記事でした!