シリーズ第1巻 レビュー 富士見ファンタジア文庫

"才能は与えられるものなのか?" 『青のアウトライン』 感想 レビュー

みなさんこんばんは、ラーメン食太郎です。

今回紹介する作品は、日日綴郎先生の『青のアウトライン』です。

この作品、審査員だった橘公司先生が絶賛されたとのことで、Twitterでとても話題になっていました。

食太郎のタイムラインにも多くの感想ツイートが連日流れてきていて、「そんなにおもしろいのか…?」とこの目で読んでみたくなり、そして、読んできました。

結論ですが…

めちゃくちゃおもしろいです。

それではまずは、あらすじから参りましょう。

あらすじ

柏崎侑里の絵は、あらゆる人に賞賛・あるいは酷評される。それは、見た人全員に何かを思わせる魅力があるからであり、それが正の感情・負の感情を問わず、人の心に留まる存在感を放つ。

それこそが天才たるゆえんであり、絵の上手いか下手かでしか判断されない凡人との違いである。

そして、画家を目指す主人公・小宮宗佑は、そんな幼馴染の才能に、憧れと嫉妬の感情を子供のころから何年も抱き続けてきた。

天才と凡人。

それぞれの価値観は時にぶつかり、ときに交わりながら、凡人は天才に挑み続ける。

という感じです。

今回の作品なのですが、あらすじを書くのがとても難しいです。

というのも、あらすじを書こうとすると、ストーリーがほとんどネタバレになってしまううえに、物語の大半は登場人物たちの感情の発現によって展開していくので、あらすじという短い中でまとめるのはナンセンスだったからです。

なので、この物語を知るためには、登場人物別に特性を把握する必要があります。

所見

あらすじにも書いた通り、登場人物に触れたいと思います。

これあくまで食太郎の見解で、うまく理解できていないような気もするので、なにか意見があったら是非コメントかtwitterで話しかけてほしいです!!

出典: ファンタジア文庫 『青のアウトライン』 著: 日日綴郎 絵: むっしゅ P.2 より

人物相関図

宗佑と詩子

宗佑と詩子は、夢に向かって互いを励まし合う仲間であり、最初から最後まで一貫してお互いを思い合っている存在です。

宗佑は詩子がいるから頑張れるし、詩子は宗佑がいるから頑張れる。

その関係にラベルを付けるのであれば、恋以外の何物でもなく、純粋な感情で二人の関係は成り立っています。

宗佑と楓

宗佑と楓は、先輩と後輩以上、恋人未満というところでしょうか。

宗佑と詩子は両想いではあり、彼氏彼女といった明確な関係ではなく現状はお互いの口約束という関係で成立しています。(そこに絆はあるので、口約束といえど、強固なものではあると思いますが)

しかし、その関係を知ってなお、宗佑への感情を口にしたのが楓です。

ただし宗佑は明確に楓の気持ちを断っています。

そして、楓自身の人間性にスポットライトを当てると、楓は侑里と"与えられている"側の人間です。

しかし侑里との違いは、与えられた才能を持てあますことなく、与えられた才能をとことんまで磨き続けてるという点です。

なので、楓は"与えられている"側の人間でありながら、努力を続ける宗佑の気持ちを理解することができ、そこに惚れているのです。

一方の宗佑はそんな楓のことを尊敬していて、感情が沈んだ際には楓から背中を押されるなど、恋人関係ではありませんが、先輩と後輩といった簡単にラベル付けできるような単純なものではなく、こうなんといえばいいのでしょうか…?

ライバルではないのですが、自分の気持ちを高めてくれる、宗佑にとって楓は"道しるべ"というのが個人的にはしっくりきます。

詩子と侑里

侑里は詩子のことを、大事な友達と思っており、詩子も侑里のことを大事な友達であるとともに、憧れの対象として見ています。

詩子の場合は宗佑とは違い、純度100%の憧れを侑里に抱いているので、この二人の関係はこの巻の時点ではシンプルなものです。

宗佑と侑里

ここですね…問題は…(←おい)

食太郎の読解力不足の可能性があるのですが、侑里→宗佑に対する明確な感情というのが、今巻ではあまり見えなかったように思います。

侑里→宗佑をどう思っているのかはよくわからないんです。

もちろん、大事な存在であることは間違いないとは思うのですが、その感情の源泉が、詩子→侑里に向けられるような"憧れ"でもなければ、宗佑・詩子あるいは楓→宗佑に向けているような"恋"という気持ちでもないので、今のところはなんとも形容できないんです。

この侑里の考えていることをなんとも形容できないあたりが、作中で侑里が天才たるゆえんなのかなとも思わされたりします。

宗佑→侑里への感情は分かりやすく天才への憧れと、それを裏返した嫉妬です。

なので宗佑→侑里に対する行動原理というのは、矛盾した二つの感情の中で揺れ動く感情から発生しているので、比較的わかりやすく、多くの人がこの作品に共感できるのは、宗佑の気持ちを理解できるからなんだと思います。

これは推測ですが、この宗佑の感情をはっきりと描きそれを読者に伝わるようにし、一方の侑里の感情はあまり文章には出さず、侑里側の感情を読ませないことで、"天才に挑む凡人"の心理に輪郭をつけているのではないか?と思いました。

その輪郭があるからこそ、よりはっきりと見える宗佑側の感情に自然と読者が移入できるなっているのではないかと思います。

これを狙ってやっているようなら間違いなく化け物です。

感想

個人的には登場人物のキャラクターで一番好きなのは、楓です。

好きな相手が辛いとき、安易に優しい言葉をかけるのではなく、その行動で相手を奮い立たせることができるという、人間としての本当の魅力を持ったキャラなんだなと思いました。

自分が主人公の立場で、あんなことされたら間違いなく好きになります(笑)

また、物語前半は登場人物同士の関係性を日常の言動をもってして読者に伝えている節があるので、物語自体がゆっくりと進行するのですが、物語後半は、前半で関係性を読まされている分、"情"ではなく"景"を重視して展開が転んでいくため、相対的に物語が加速しているような感覚に陥ります。

なので、気分的には怒涛のようにストーリーを読まされたような読後感に襲われて、徐々に加速しながら走った後の息が上がるような気分になりました。

おそらく、この作品を読んだ後、多くの人が興奮したのではないでしょうか。

以上、『青のアウトライン』の感想でした。

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