
こんにちは、Kanonです。今回は…

杉井光先生の『神様のメモ帳』の感想記事です。
あらすじ
路地裏に吹き溜まるニートたちを統べる美少女・アリスは、ニート探偵。
高校1年生の僕・藤島ナルミと同級生の篠崎彩夏を巻き込んだ怪事件――
都市を蝕む凶悪ドラッグ “エンジェル・フィックス” の謎を、自室にひきこもったアリスが暴いていく。
そして事件解決へ向け、普段は不真面目なニートたちが動き出す!
『神様のメモ帳』杉井光 電撃文庫 2012年7月13日 発行 より引用
こんな人におすすめ!
おすすめポイント
- 一風変わった探偵ものを求めている人
- 現代社会の闇の部分もリアルに描いた作品が好きな人
- 思春期の少年の葛藤を描いた作品が好きな人
ネタバレあり感想
思春期の心の葛藤がすごくリアル
最近、自分が名作だと思うシリーズを読み返していますが…
やはりこの『神様のメモ帳』という作品は別格に面白い。
改めて読み返してみてそう思いました。
自分がこの作品を初めて読んだのがもう10年近く前になると思います。
刊行も10年前ですしね…
だからこそこの作品は名作だと言えるかと思っていまして、10年経った今でも昔とはまた別な感想を抱きながら、読後感に浸れるという作品はそうそうないかと思います。
初めてできた友達が突然目の前から消えてしまった虚無感。
奪われてしまったことに対する怒り。
自分自身への無力感。
こういった負の感情を思春期の少年を通してストレートに描いています。
ドラッグという社会の負の面を中心に物語が展開していくので、全体的に展開は暗く、重いです。
そんな暗い展開が多いながらもライトノベルたらしめているのは、"ニート"という社会からはみ出た人たちが、各々の個性を生かして生きている様が明るく描かれるからではないでしょうか。
クラッキングとドクペ一気飲みが特技のひきこもり。
携帯一つで生きるプロのひも。
パチスロの天才で元プロボクサー。
盗聴盗撮の天才でジョジョオタミリオタの大学生。
こういった人物たちが暗く生きる様ではなく、おもしろおかしく毎日を過ごしている様子も描かれています。
そんな様をみて、「あ、生き方ってひとつじゃないんだ」と昔も今も感じています。
総評
近年の杉井光先生の作品は音楽を中心に物語が展開しますが、本作ではそれがありません。
そういった杉井光先生の作風がファンの人にとっては本作は期待にそぐわないかもしれません。
しかし、杉井光先生の「思春期の少年・少女の葛藤を描く」技術は遺憾なく発揮されています。
そして、"ニート探偵"という一風変わった設定の探偵が事件を解決していくなかで、事件を取り巻く人間の思惑・業を浮き彫りにしていく展開は好きな人にはたまらないかと思います。
引き続き2巻以降もレビューしていきたいので、よろしくお願いいたします。
以上、『神様のメモ帳』 感想 レビュー ネタバレでした。