
こんにちは、Kanon です。今回は…

裕夢先生の『千歳くんはラムネ瓶のなか 6.5』の感想記事です。

以降で詳しく見ていきましょう
あらすじ
ばいばい、恋した一度きりの夏。
「ばいばいみんな、また二学期にな」
それぞれの思いが花火のように夜空を染めた夏。
少女たちは、再び手を伸ばす。心の奥に沈む、大切な月を掬えるようにと。
熱く駆けぬけた季節を終わらせ、もう一度歩き出せるようにと。
終わりはきっと、なにかの始まりだから。短夜を彩る珠玉の「長篇」集。
『千歳くんはラムネ瓶のなか 6.5』裕夢 ガガガ文庫 2022年4月10日 発行 より引用
――だから、ばいばい、人生で一度きりの夏。
公式のあらすじはこんな感じなのですが、それだと何もわからないので、各章の簡単な概要をご紹介します。
八月の夜に結んだ十年前のゆびきりげんまん
夕湖・悠月・なずなの3人による金沢女子旅です。
買い物や着物レンタルで金沢を謳歌する女子三人。
章題の意味は内容を読めば納得できると思うので、ここでは触れません。
やがて涙で咲かす花
明日風と千歳くんのふたりは、明日風の父親の好意で出版社の人と会う機会を与えられます。
ひょんな成り行きで話を聞くだけでなく、実際に編集者としての仕事を体験できることに。
しかし、そこで明日風は現実と向き合うことになります。
彼女と彼の椅子
優空は勇気を出して、いつもの買い出しのついでに、初めて千歳くんを「デート」という言葉を使って連れ出します。
優空は普通でいられればそれでいいとも願いつつ、いつか千歳くんに"特別"が生まれたとき、自分の居場所がなくなることを恐れているわけです。
かつて母親が普通でいいと言いながらも、自分の前から姿を消し、自分にとっての"普通"をなくしたときのように。
そんな優空の、普通と特別の感情シーソーゲームに決着をつけるまでのお話。
かかげた両手に花束を
夏休みの1件のあと、千歳くんのことばかり考えてしまい、いまいちバスケに没頭できないでいる陽。
そんな折に陽が藤志高校に入学することに決めたきっかけとなった、OBの2人に会えることに。
東堂舞も誘ってOBの2人と対面するも、そこから3対3の試合を始めることになり…?

各章のあらすじはこんな感じです。
気になる話はありましたか…?
ネタバレなし感想

twitterに投稿していたネタバレあり感想はこんな感じでした
以降はネタバレを含む感想になるので、嫌な方はブラウザバックをお願いいたします。
ネタバレあり感想
八月の夜に結んだ十年前のゆびきりげんまん
結論から言うと、このタイトルは未来から見た八月の夜ということになります。
女子旅の最後、夕湖、悠月、なずなの3人はまた10年後、今回の金沢女子旅のようにもう一度旅をしようと約束します。
その時が来たら、誰が誰とどんな人生を歩んでいても恨みっこなし。
そのときどう思うのかは十年後の自分たちに任せよう。
というなんとも素敵な考え方でしたね。
悠月は千歳くんが好きだということをこの女子旅の中でもはっきり口にすることはありませんでした。
けど、この約束があれば、悠月はまた夕湖にも遠慮なく千歳くんに向かっていけるのではないかなと思いました。
やがて涙で咲かす花
簡単に話を言えば、明日風が実際に編集者という仕事を体験することで、よりその目標への熱を深くするためのお話でした。
一時は雨が降り注ぎ、嵐のような感情にもみくちゃにされながらも、最後には涙を糧として美しい花を咲かせます。
一方で文章がとにかく美しい。
真夜中の底を流れるラジオは、星屑の海から紙飛行機で飛ばす救難信号に似ている。
『千歳くんはラムネ瓶のなか 6.5』裕夢 ガガガ文庫 2022年4月10日 発行 P.129 より引用
お手紙ひこうきは、いまどのあたりを飛んでいるんだろう。
すいすいと泳ぐように。
ふらふらと揺れるように。
叶うなら、と想う。
『千歳くんはラムネ瓶のなか 6.5』裕夢 ガガガ文庫 2022年4月10日 発行 P.223 より引用
いまは千歳くんと明日風の出している周波数は同調してはいないけれど、自然とふたりの周波数を合わせられる時が来ればいいなと思いました。
彼女と彼の椅子
料理をする優空のために千歳くんは優空専用の椅子をプレゼントとして用意してくれます。
それを受けて優空は泣いてしまいます。

これは自分が同じ立場でも泣いてるわ…
あのね、朔くん。
そんなに多くは望まないから。
あなたに迷惑もかけないから。
たとえばこの家に入るとき。
心の中でだけ、こっそり「ただいま」って言うような。
それぐらいのわがままは、許してくれますか。
『千歳くんはラムネ瓶のなか 6.5』裕夢 ガガガ文庫 2022年4月10日 発行 P.295 より引用
特別にならなくてもいい。けど今まで通り、普通に千歳くんの傍にいたいという、優空の心情が十二分に表現されていて、今回のお話のなかで一番刺さりました…
かかげた両手に花束を
OBと練習試合をすることになるも、イマイチ身が入らない陽。
そんな陽に火をつけたのは、やはり千歳くんの言葉。
そこからの陽の熱の入りようが、スポーツ好きな人間としてはとても共感できました。
4巻でも思ったのですが、バスケの描写も経験者かな?というくらい詳しく書かれていて、普通にバスケ小説とかでも見てみたいです(笑)
そして6.5巻の最後の物語でもあるこの章を担当する陽が、前半を総括してくれています。
ーーばいばい、私を変えてくれたふたりの夏。
来年もまた、この場所で会おう。
『千歳くんはラムネ瓶のなか 6.5』裕夢 ガガガ文庫 2022年4月10日 発行 P.396 より引用
総括
本当に総括ですね!
夏が終わり、季節は秋へと向かいます。
先にも紹介した、今巻最後の陽の一文。
とても哀愁が漂っていて、本当にあの頃の。
学生だった頃の夏休みの最後の思い出のように、セピア色で切り取られたフィルムの一枚を心の底から見せられたような気持になりました。
次は7巻!そして千歳くんがどんな答えを出すのか?
ほんと~~~~に楽しみです。
引き続き楽しみにしています!(to. 裕夢先生)
以上、『千歳くんはラムネ瓶のなか 6.5』 感想 レビュー ネタバレでした。