
こんにちは、Kanonです。今回は…

飴月先生の『隣の席の元アイドルは、俺のプロデュースがないと生きていけない 2』の感想記事です。
あらすじ
元アイドルのミルを“普通の女の子”にプロデュースする蓮は、次のステップは「これからのミルらしさを見つけること」。夏休みを共に過ごし近づくミルとの距離。一方で同級生の琴乃は蓮の変化に揺れていて!?
『 隣の席の元アイドルは、俺のプロデュースがないと生きていけない 2 』飴月 ファンタジア文庫 2022年10月20日 発行 より引用
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ネタバレあり感想
今回は琴乃にスポットが
これまでは周囲の期待に答えるべく、周りが思い浮かべる"琴乃"像を演じるように生きてきた琴乃。
そんな彼女が唯一自分自身をさらけ出せた相手が蓮でした。
そして、本当の"自分"というもの見つけられないもの同士、シンパシーも感じていて、そんな関係がずっと続くと思っていたところに現れたのがミルでした。
瞬く間にミルは、蓮の心と琴乃の居場所を奪っていったように琴乃の目には映っており、友達だとは思いながらも嫉妬の感情を隠せなくなっていました。
琴乃の告白
そんな嫉妬や蓮の隣に居られなくなるのではという焦りもあって、勢い余って蓮に告白してしまうのですが、その告白の台詞が重いヒロイン感あって最高でした…
「柏木くんはいつも、私が好きって言っても、好きって返してくれませんよね。この前だってありがとうって言った。好きの返事は、好きしか価値がないんですよ。頭いいのにそういうところ、バカだなぁ……」
『 隣の席の元アイドルは、俺のプロデュースがないと生きていけない 2 』飴月 ファンタジア文庫 2022年10月20日 発行 より引用
「でも、そういうところも、全部好き。こんなにめんどくさい私に執着されちゃうところが好き。こんな状況でも逃げ出さずに、最後まで私の話を聞いてくれようとしているところが好き。理解しようとしてくれてるところが好き。私にこんなこと言われても、傷ついた気持ちを表に出さないようにしてる優しさも好き。」
『 隣の席の元アイドルは、俺のプロデュースがないと生きていけない 2 』飴月 ファンタジア文庫 2022年10月20日 発行 より引用
「私が欲しい言葉一つくれないくせに。嘘でも好きって言わないくせに。それでもそばにいれたらいいやって思ってたのにっ!唯一の私の居場所がどんどん香澄さんのものになっていって、香澄さんと歩くあなたを見て!私がどれだけ辛かったかなんて、柏木くんにはわからないんでしょ!?」
ーーどうして私じゃダメなの。
顔を見られないように俯けて、そんな言葉を飲み込んだ。
『 隣の席の元アイドルは、俺のプロデュースがないと生きていけない 2 』飴月 ファンタジア文庫 2022年10月20日 発行 より引用
「ーーどうして私じゃダメなの。」
この気持ちを想像すると、もうしんどい…
総評
ヒロイン3人それぞれが、友達以上・恋人未満の立ち位置で蓮の心に存在しているところがよく表現できていて夢中になります。
初恋のお姉さん。なんでも言い合える女友達。自分を変えてくれた運命の相手。
この3人もまた蓮に対して特別な感情を抱いていて、自分のアイデンティティと恋心の狭間で揺れ動く様が唯一無二の青春の物語として仕上がっています。
ここからは勝手な見解になりますが…
個人的には2巻のお話は無しで、1巻で完結の方が作品としての完成度は高かったように思いました。
もちろん2巻が読めたことは物凄く嬉しいです。
が、2巻では琴乃の心情を中心に物語が展開しているとはいえ、ミルや冬華についても同時に物語が展開していて、2巻で全ての物語が完結してしまうので、少し展開が早すぎる気がしています。
(テンポのいい物語が好きな人は気にならないと思います。)
『君のせいで今日も死ねない』のあとがきで飴月先生自身がおっしゃられていることなのですが、飴月先生は元々短編をたくさん書いていらっしゃったようです。
なので、長編で物語を展開していくよりは単巻完結の作品をたくさん書く方が個人的には面白い作家様かなという印象です。
この巻の終わり方的に、続きはないのかな…?という印象です。
もっと「となドル」読んでいたいので悲しいのですが、先述の通り飴月先生は単巻完結の作品をたくさん出す方が向いているような気がするので、新たな作品を読めると思うとそれはそれでいいかなと。
とにかくもっとこの先生の作品が読みたい!
そう思える作家様が出てきたことが喜ばしいです。
以上、『 隣の席の元アイドルは、俺のプロデュースがないと生きていけない 2 』感想 レビュー ネタバレでした。