こんにちは、Kanon です。今回は…
鴨志田一先生の『青春ブタ野郎はナイチンゲールの夢を見ない』の感想記事です。
今巻のヒロインは咲太の中学生時代の同級生・赤城郁美(表紙の女の子)です。
あと、今巻を読む前に、『青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない』を読み返しておくことを強くおススメします。内容がとても今巻に関係しています。
それでは詳しく見ていきましょう。
あらすじ
突如咲太の目の前に現れた、霧島透子を名乗るミニスカサンタ。彼女が「思春期症候群をプレゼントした」という学生たちのなかには、咲太の中学時代のクラスメイト・赤城郁実がいて――。
書き込んだ夢が正夢になる、と学生たちのSNSで話題の都市伝説『#夢見る』。郁実がそれを利用し、「正義の味方」として人助けしている姿を目撃した咲太は、彼女の身体がポルターガイストのような現象に襲われていることを知る。しかもその原因は過去の咲太にあるらしく……!?
「ねえ、梓川君。ひとつ勝負をしない?」
鍵をかけていた過去の扉をあける、シリーズ第11弾。
『青春ブタ野郎はナイチンゲールの夢を見ない』 鴨志田一 電撃文庫 2020年12月10日 発行 より引用)
前巻である『迷えるシンガーの夢を見ない』のおさらいはこちらの記事からどうぞ!
ネタバレなし感想
twitterのネタバレなし感想はこんな感じでした。
以降はネタバレを含む感想になるので、嫌な方はブラウザバックをお願いいたします。
ネタバレあり感想
ネタバレあり感想に入る前に、少し整理を。
郁美の性格
今巻のストーリの根幹をなしているのは、郁美の性格によるものが大きいです。
誰かの力になりたいからといって看護師を目指し、ボランティア団体を立ち上げて活動もしており、郁美の友人である上里すら、『時々、気持ち悪い』と思うほどに真面目です。
そんな潔癖なほど真面目な郁美にとって、中学三年生のときにおこった出来事が、その後もずっと棘のようにその胸に刺さっているのでした。
その事件とは…
花楓と咲太に起こった思春期症候群のことでした。
咲太の中学時代
これまでのストーリーでも何度か言及されていましたが、咲太は中学三年生の時に、花楓はいじめられ思春期症候群を発症し、咲太も思春期症候群を発症します。
咲太は思春期症候群について周囲の人間にその存在を語りますが、だれにも信じてもらえず、スマホを海に投げ捨て、そして翔子さんと出会います。
とまあこのあたりの背景を頭に入れたうえで、ネタバレあり感想を。
郁美の後悔
郁美の後悔とは、「中学三年生のとき、咲太を助けられなかっただけではなく、その後の学校やクラスの険悪な空気をなんともできなかったこと」でした。
郁美は自身が思春期症候群を発症したことにより、咲太の言っていたことが正しかったことを悟り、中学時代、咲太に冷ややかな言葉を浴びせた人たちの間違いを正そうと画策します。
しかし、咲太にとってはそんなことはすでに過去のこととして終わった話で、そう思えたのは翔子さんや麻衣と出会うことができたからでした。
ストーリーとは別に咲太と麻衣の信頼関係を見せつけられた巻でした
郁美の情報を得るために合コンへ行くことになった咲太。
その前に麻衣へ言い訳をしようとするも、あっさりと「OK」と返すシーンがあったり。
「郁美が未来を変えようとしているのでは?」と思い込んでいた咲太と麻衣の見解が、「未来を変えることは残酷なこと。その結果本当に守りたかったものを失うかもしれないのに」であったり。
『ゆめみる少女の夢を見ない』『ハツコイ少女の夢を見ない』で散々二人は未来を変えることの残酷さを垣間見ましたからね…
あからさまにハーレム展開に持っていくのではなく、このちょっとした二人のやりとりから、咲太と麻衣の信頼度が伺えるのがまたいいですよね。
次は「麻衣さんが危ない」?
次巻への伏線は、「霧島透子を探せ。麻衣さんが危ない」という、『ランドセルガールの夢を見ない』で登場した、平行世界に存在する咲太からのメッセージでした。
いよいよ大学生編も核心へ迫っていくのか…?
楽しみなのですがもう2年も続巻はないのですね…鴨志田先生もこの次の展開に悩まれているのでしょうか…?
総評
今巻も悩みを抱えたヒロインが思春期症候群を通して自身の深層心理と葛藤し、それを助ける咲太という構図を見事に成立させている素晴らしい出来でした。
続巻では麻衣さんに危険が及ぶのか…?というのが気になるところですが、まだ新キャラの美東美織や姫路紗良といったキャラたちが思春期症候群を発症してないし…
まさか美東さんが霧島透子というオチなのか…?
余談ですが、双葉と加西虎之助(国見のバスケ部の後輩で、塾では理央の生徒)が恋愛関係に発展しそうな描写があったりと、気になることは尽きませんね。
次巻を楽しみに待ちたいと思います!
以上、『青春ブタ野郎はナイチンゲールの夢を見ない』 感想 レビュー ネタバレでした。