ガガガ文庫 シリーズ第1巻 レビュー

"アイドルの理想と現実を描いた物語" 『きみは本当に僕の天使なのか』 感想 レビュー ネタバレ

こんにちは、Kanon です。今回は…

しめさば先生の『きみは本当に僕の天使なのか』の感想記事です。

表紙とタイトルを見るに幻想的な恋の話のように思えるのですが、実はタイトルはそんな幻のようなものではなく、実に現実的な感情がもとになったタイトルなのです。

それでは詳しく見ていきましょう。

あらすじ

推しアイドルとの疑似カップル生活!?

“完全無欠”のアイドル瀬在麗。
『彼氏発覚』『嫌がらせ不祥事』など、推したアイドルがことごとく引退していった僕の、最後の希望が、麗だ。
彼女が、僕の推す最後のアイドル。そう決めていた。
女性恐怖症を患い、女性と物理的距離が近づくと身体に不調が出てしまう僕が、勇気を出して参加した麗の『握手会』。
しどろもどろになりながら言葉と握手を交わしたその夜に、麗は何故か、僕の家に押しかけてくる。

「君さ、あたしの彼氏になってくんない?」

麗のその言葉から、僕の日常は急変した。

ステージの上に立つ麗しか見たことのなかった僕に次々と開帳されてゆく彼女の『オフ』の姿。
そして、麗が僕に近づいてきたことにも、「恋人になる」のとは別の目的があり……。
ただ憧れていただけのアイドルと共に過ごすことで、そのまばゆい輝きと、その下にぽっかりと口を開いた“深淵”を見つめることとなる。
女性を恐れながら、同時に憧れる僕。そして、アイドルとして輝きながら、どこか破滅に向かっているように見える麗。
二人の“恋人ごっこ”が向かう先にあるものとは。

“アイドル”を巡る、新たなる闘いの物語。

『きみは本当に僕の天使なのか』 しめさば ガガガ文庫 2021年7月26日 発行 より引用

こんな人におすすめ!

  • アイドルとの疑似恋愛モノが好きな人
  • 現実社会のダークな部分を描いた作品を楽しみたい人
  • ヒロインのギャップを楽しみたい人
  • 夢をかなえるために努力する女の子の姿が好きな人

以上のどれか一つにでも当てはまる人にはおすすめの作品です!

ネタバレなし感想

twitterに投稿していたネタバレなし感想はこんな感じでした。

いろいろとテーマがあるという部分について、ネタバレあり感想で掘り下げていきたいと思います。

以降はネタバレを含む感想になるので、嫌な方はブラウザバックをお願いいたします。

ネタバレあり感想

もうちょっとあらすじを掘り下げ

この作品の感想を具体的に話すには、もう少しネタバレが含まれるあらすじを先に話す必要があります。かいつまんで話すと…

  • 麗はもともと二人組のユニットだった
  • しかし、麗の相方がアイドルとしての限界が近づいてくるのを見た業界の上役が、相方を"アイドル"としてではなく、"枕営業"の話を相方に持ちかける
  • 「そんなことをするくらいならアイドルを引退したほうがいい」と麗は相方に告げ、相方はその通り引退する
  • 麗は相方に枕営業の話を持ち掛けた黒幕を釣るため、自身に汚点を作ることを考え、おとり捜査的に黒幕を引きずりだすことを計画する
  • そのために偽装恋人を作ることにする
  • 主人公がその偽装恋人の相手に選ばれる
  • しかし主人公は女性恐怖症だった
  • そこで麗は相方に枕営業を持ち掛けた黒幕を引きずりだすことを。主人公の優羽は女性恐怖症を克服することを目的に偽装恋人になることに。

というのがもう少し掘り下げたあらすじの内容です。

タイトルの意味

おそらく2つの意味があるんだと思います。

いきなり家に押しかけてきて、偽装恋人となったという展開への驚きの意味で、「きみは本当に僕の天使なのか」

もう一つは(おそらくこっちが本命)、オフのアイドルの姿を見て「きみは本当に僕の天使なのか」

ですね。

ヒロインの麗ですが、偽装恋人となった本来は麗の大ファンである優羽の前で飲酒・喫煙・リバースと、まあ男からすると推しの女の子があまりやってほしくないことを次々とやっていくわけです。

けど、優羽はそんなオフの麗の姿を見ても、「人間だし、そういうこともある」と割り切っています。

そしてどんな姿を見たとしても、アイドルとして働く麗のことを応援したい自分の気持ちは嘘じゃないというところが優羽の根底にある部分だと思うので、アイドルとファンの理想の関係というのはこういうものなのかなと思いました。

アイドルとは字のごとく偶像ですが、それはファンが自分の中で勝手に思い描いているものであり、実際にそこに存在する人間という点では自分たちと何一つ変わらないよね、という理想と現実のはざまに立っている主人公の感情がうまく表現されている印象です。

今巻のメインの話は、黒幕探しだったけど…

さて、今巻のメインは麗の相方である真島杏樹に枕営業を持ち掛けた黒幕を探し出すことだったのですが、結果としてその黒幕は見つかることになります。

となれば、麗と優羽の恋人関係も解消…と思いきや、優羽の女性恐怖症を克服するということを建前に「友人」としての関係は継続することに。

そして、今巻の最後で、麗は優羽にキスをするのですが、このキスの真意は…?

麗と優羽の偽装恋人は解消されたものの、この先2人の関係はどうなっていくのか。

今のところ、

推しのアイドルとファン→偽装恋人→友人→???

と変遷していってます。

おそらくこの先は、友達以上恋人未満な関係と、一般人と芸能人といった住む世界に悩んだりするのでしょうけど、そのあたりの葛藤がどのように描かれていくのか楽しみです。

総評

アイドルとファンという関係から偽装恋人、そして友達となった男女の関係に悩む主人公とヒロインを描くのがこの作品だと思っているのですが、今後の展開がどうなっていくのか楽しみです。

以上、『きみは本当に僕の天使なのか』 感想 レビュー ネタバレでした。

2巻の内容はこちらからどうぞ!

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