ガガガ文庫 レビュー

"ふたりの思いが交わる" 『きみは本当に僕の天使なのか 2』 感想 レビュー ネタバレ

みなさんこんばんは。ラーメン食太郎です。今回は…

しめさば先生の『きみは本当に僕の天使なのか 2』の感想記事です。

今巻の主役は、前巻にて"裏接待騒動"により芸能界を引退した麗の相方・杏樹でした。

それでは詳しく見ていきましょう…とその前に。

前巻が未読の方はぜひ読んでみてください。とてもおもしろいですよ。

もしくは、買うに至らないまでも内容が気になる!という方は前巻の感想記事をどうぞ。ただしネタバレを含んでいるのでご注意ください。

それでは今巻のあらすじから見ていきましょう。

あらすじ

ripqle再結成!?もう一人のアイドル。

「あたし……やっぱりripqleを再結成したい」

裏接待問題の一部を暴いたことによって、麗の目標は再び杏樹とのペアユニット再開へと向かい出す。
「マネージャーのマネージャー」として真央のアシスタント業務を請け負うこととなった優羽。
麗のマネジメントで手一杯な真央の代わりに、杏樹の再スタートのための足掛かりを、優羽は少しずつ探り出す。
杏樹を追い詰めた諸悪の根源は取り除かれ、彼女は麗の元へ戻ってくるのかと思われたが……。

「私……本当は、アイドル業界から逃げたんじゃない」

アイドルに戻ってほしいと告げた優羽に、杏樹が言い放ったのは衝撃的な一言だった。

「麗から逃げたんだよ」

杏樹の柔らかな表情の奥、その相貌には、昏い影がかかっている。

「だから、私はもう、ripqleには戻れない」

コンビを再結成したい麗、自分にはアイドルの資格がないと言う杏樹、そして、その両方の気持ちの間で揺れる優羽。
“瀬在麗”というアイドルの闘いであった『伝説のライブ』のその後、もう一人の少女の闘いが――始まる。

『きみは本当に僕の天使なのか 2』 しめさば ガガガ文庫 2022年1月23日 発行 より引用

ネタバレなし感想

twitterのネタバレなし感想はこんな感じでした。

どうやら麗と杏樹のアイドルとしてのストーリーだけでなく、麗と優羽の間にも関係の変化がある様子。

そのあたりについて以降で詳しく話したいと思います。

以降はネタバレを含む感想になるので、嫌な方はブラウザバックをお願いいたします。

ネタバレあり感想

麗との才能の差に劣等感を感じる杏樹

前巻では"裏接待騒動"に巻き込まれないように芸能界を引退していた杏樹。

しかし麗と優羽のおかげで裏接待の黒幕を突き止め、一旦は裏接待問題が解決しました。

それにより杏樹が芸能界から身を引く必要もなくなったため、麗は再び杏樹とのペアユニット再結成を目指します。

麗が杏樹とペアユニット再結成を目指す理由は「二人で一緒に一番を取ろう」という約束があったからです。

一方、杏樹は麗とのペアユニット再結成に消極的でした。

杏樹はいつの間にか、隣にいる"完全無欠"な麗の足を、自分が引っ張っていると考えるようになってしまっていたからです。

しかし、杏樹の心の中には"アイドル"として麗と駆け抜けた思い出が根付いていて、それを忘れられずにいました。

ステージのライトは眩しかった。

歌って、踊って……ファンへ視線を送って。

歌詞の合間、ダンスの振り付けの切れ目、そのたびたびで……麗ちゃんと視線が絡まる瞬間。

ああ、私は、アイドルをしてる。

そう思った。

その瞬間に、いつも、音が、時間がなくなっていく。

身体が、次にステップを踏む場所を、自明のように理解していた。

考えなくても、身体が動いて、声が出た。

腕を振り上げると、汗のパーティクルが飛び散って、ライトがキラキラ反射して、綺麗だった。

それも、これも、全部……。

隣に、麗ちゃんが、いたからだ。

夢を見てた。

ずっと……見ていた。

苦しさを抜けた先に、一瞬だけ、ふわっとした高揚感があって、その時、いつも、隣に麗ちゃんがいた。

大丈夫だ、と思えた。

『きみは本当に僕の天使なのか 2』 しめさば ガガガ文庫 2022年1月23日 発行 より引用

こうして再び昔のようにアイドルとして麗と同じ景色を再び見たいと願いつつも、それにより麗の足を引っ張ってしまうと考える杏樹は、感情の板挟みに合います。

そんな杏樹の背中を押したのは、またしても"純粋なファン"としての優羽の言葉でした。

優羽のファンとしての気持ちが杏樹の背中を押す

優羽のファンとしての気持ち。

それは麗と杏樹の二人が揃ってこそファンは夢を見られるということでした。

「僕たちファンはきっと……二人が楽しそうに歌って踊る姿を見て……二人の仲の良さや、息の合わせ方を見て……そこに……〝夢〟を感じていたんだ」  

僕が言うと、麗と杏樹は同時に、ハッ、と、息を吸った。

『きみは本当に僕の天使なのか 2』 しめさば ガガガ文庫 2022年1月23日 発行 より引用

杏樹は足を引っ張ってなんかいない。

杏樹もいるからこそ、ふたりのことを応援したいし、夢を見られる。

足を引っ張っていると自分を肯定できなかった杏樹の存在を肯定してあげたのが、ファンとしての優羽の言葉というのがいいですよね。

変に恰好を付けるわけでもなく、ただファンとしての思いを杏樹に伝えることで杏樹の気持ちを変えるというのが、この作品がただのアイドルものではないという感じがして良いです。

再び麗とステージに立つことを決意した杏樹!しかし…

ふたりの再結成ライブの直前に、麗はインフルエンザに罹患してしまい、杏樹一人でライブを行うことになります。

しかし裏側では、このライブでは麗と杏樹のグッズそれぞれ1万個(計2万個)を売り切らないと、ふたりのユニットの再結成を認めないというノルマがあるのでした。

そんななかでの麗の離脱…

しかし杏樹は見事に一人でライブを進めていきます。

それによって杏樹は麗の腰巾着などではなく、麗の隣に立つべき人間は杏樹しかいない!という自己肯定を手に入れ、ファンもその事実を自然と認識していくのでした。

そして、最後の最後には麗がおいしい所をもっていくという展開も快感でした。

ふたりは見事、すべてのグッズを完売させることに成功し、名実ともに再結成を果たします。

食太郎はアイドルに全く興味はないのですが、この作品を読んでいるとアイドルを応援している人の気持ちがすごく伝わってきて、自分の心にも熱いものが宿る感じがします。

ふたりのライブのシーンと、再結成が決まったシーンは普通に泣きそうになってました(笑)

ここまでが、今巻のメインストーリーの部分についての感想で、次は前巻から続く伏線の回収についてです。

1巻で未回収の伏線

ところで、前巻で未回収だった伏線が2つあります。

それは優羽が女性恐怖症を発症した理由と、麗がアイドルになった理由についてです。

まず、優羽が女性恐怖症になった理由がこれ。

こうして、僕の高校生活は『アイドル』によって救われて、だんだんと、女性恐怖症も克服へと進んでいるような気がしていた。  

でも……。

(中略)

僕は、夕焼けの教室の中にいた。

「ふーん、アイドルが好きなんだ。何がいいの?」  

女子生徒でありながら、スカートではなくスラックスを穿いてネクタイを締めている『あの子』が、夕日に照らされながら僕を見ている。  

その顔はとてもきれいで、男の子に生まれれば、こいつはめちゃくちゃにモテたんだろうな、なんてことを僕は考えていた。

僕がそう答えるのを見て、彼女は、「ふうん」と、なんとも言えない表情で頷いた。  

そして、言う。

「僕よりも、アイドルの方が好きなんだ?」

『きみは本当に僕の天使なのか 2』 しめさば ガガガ文庫 2022年1月23日 発行 より引用

1巻はまだここまでしか語られていませんでした。

どうも男装をした女子生徒との間に"なにか"があったことが伺えるのですが、深堀はされませんでした。

一方、麗がアイドルになった理由はこちら。

『アイドル』なんて、ただの手段だと思っていた。  

最初は、ただ、たった一人の男の子に、振り向いてほしいだけだったから。  

優しくて、思慮深くて、傷つきやすい、そんな男の子。  

彼が見つめる光の一つに、なりたい。ただそれだけだった。  

そんな軽い気持ちで始めたアイドルが、自分の『人生』になるとは、思ってもみなかったのだ。

『きみは本当に僕の天使なのか 2』 しめさば ガガガ文庫 2022年1月23日 発行 より引用

このアイドルを目指すきっかけになった男の子については前巻では詳しく触れられていませんでしたね。

しかし食太郎含む多くの読者が、きっとこれは女の子=麗と男の子=優羽のことなんだろうなと思っていましたよね。

そして、お互いまだその事実には気づいてはいない体でエピローグが始まります。

伏線の回収

エピローグでは、麗に優羽が女性恐怖症の原因となった、幼き頃の出来事について語ります。

小学生ながら肉体関係を持ったものの、それが親に発覚し、2人は日常的に関わることを辞めてしまったことを。

それがきっかけで女の子と関わること自体が怖くなったことを。

そして時が経ち、中学生のころにアイドルを知り、少しずつ恐怖が和らいでいったことを。

そして高校生の時に…もう一度再発した経緯を。

ここで、1巻でのとある女の子とのやりとりの続きが詳しく描かれます。

「その子とは、いろいろなことを話したんだ。何を話しても、楽しかった……。でも、一つだけ分かってたことがあって……それは、その子が、『女の子』が好きじゃない、ってこと」  

僕がそう言うと、麗はハッと息を呑んだ。

「『女は嫌い。本音で話さないから』って……よく言ってた。だから……僕も、言い出せなかった。……アイドルが好きだ、ってことを」

(中略)

「でもね、ある日……どうしても早く読みたくて、学校に行く前に買った、僕の推しアイドルが表紙を飾っていた雑誌を、その子が見つけてしまった。そして……僕に訊いたんだよ」

『きみは本当に僕の天使なのか 2』 しめさば ガガガ文庫 2022年1月23日 発行 より引用

ここで1巻の未回収伏線シーンにつながりますね。

女の子が優羽に聞いた内容は、 「僕よりも、アイドルの方が好きなんだ?」ですね。

けどその疑問に続けて優羽に投げかけられた言葉があるのでした。

それは…

『裏切者。あんたなんて、性欲の奴隷だ』

『きみは本当に僕の天使なのか 2』 しめさば ガガガ文庫 2022年1月23日 発行 より引用

きっつぅ…

優羽の、過去に女性とかかわりを持たないようにしようとするきっかけとなった出来事を知っていれば、絶対に言えないセリフですね…

なぜか自分が泣きそうになります

ここまでの経緯を聞いた麗は泣きながら優羽へ謝罪をします。

しかし、優羽は薄々気づいていたのでした。

麗が僕の私生活に溶け込むようになってから…気付いていた。

サラサラの黒い髪も…顔のホクロも。

不意に笑うときの歯の見せ方も。

全部…あの子と、重なっていた。

「君は…瀬戸内玲、なんだね……」

『きみは本当に僕の天使なのか 2』 しめさば ガガガ文庫 2022年1月23日 発行 より引用

ここで、1巻の伏線が一部回収されましたね。

今後の展開の考察

今巻で優羽視点での過去の伏線は回収されましたが、麗もとい瀬戸内玲視点の伏線は回収されてませんね?

つまり、「あんたなんて性欲の奴隷だ」といいながらも、麗がアイドルを目指すまでの詳しい経緯。そして、どうして優羽のことを好きになったのか?ということです。

おそらく次巻は過去編…起承転結の転にあたる話だと予想できます。

たぶんこの物語も『ひげひろ』同様、4もしくは5巻で完結ではないかと思われます。

そして偶像と現実の人格がまじりあう展開になったとき、優羽はファンの立ち位置のままいられるのか?

麗は自分がアイドルを続けていた理由だった優羽が目の前にいることを知り、今後のアイドル活動をどうするのか?

引き続き目が離せない展開になりそうですね。

総評

純粋にアイドルを応援するというテーマだけでも面白いですが、それを軸に女性恐怖症の主人公や、アイドルを続ける理由がアイドルにとってタブー視されている恋愛という枝葉要素が見事に絡んでいて、相変わらず面白いです。

早く3巻出てくれることを祈りたいと思います。

以上、『きみは本当に僕の天使なのか 2』 感想 レビュー ネタバレでした。

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