こんにちは、Kanon です。
今回は夏海公司先生の『なれる!SE ~2週間でわかる? SE入門~』についての感想・レビューです。
私は普段はシステムエンジニアとして働いているのですが、この作品を読んでいると、
「自分かな?」
と、登場人物の心情に共感できたり、
「あ~~あるある」
と、人物を取り巻く状況にひたすら共感が発生します。
全16巻あり、3周は読み返しているのですが、全く飽きずに楽しむことができます。
また、作品の随所に登場する名言は、SEであれば多くの人が共感できるものなはずです。
それではさっそく、感想・レビューに入っていきましょう。
どんな人におすすめ?
- 現在進行形でシステムエンジニアとして働いている人
- これからシステムエンジニアとして働こうとしている人
- 年下だけどセンパイなヒロインが好き
- 現実世界に実際に起こりうるようなヒューマンドラマが好き
どれかに当てはまる人は必ず楽しめる作品だと思います!
あらすじ
主人公の桜坂工兵は厳しい就職活動を経て、とあるシステム会社に就職した。
エンジニアとしての経験もなく入社した工兵は、どう見ても10代にしか見えない先輩社員・室見立華のもとでOJTを行うことに。
ただ、立華は工兵のOJT担当になることに乗り気ではなく、OJT期間中に工兵のことが使えないと判断した際には、即クビと言い放つ。
工兵は立華のもとで時に厳しく、時に放置されながら仕事をこなす。
しかしあるとき社長が現場の状況を無視した案件をもってくるのだが、それを全く経験のない工兵が担当することになり…?
工兵は無事にOJT期間を完遂することができるのか…?
という感じです。
所見
今回のテーマはOJT!
新卒・未経験で入社した人が必ず通る門。
それがOJTです。
私自身も工兵と同じようにOJTという道を通ってきたのですが、この作品と同じように、「オン・ザ・ジョブ・トレーニング」の「トレーニング」を無視した、「オン・ザ・ジョブ」を経験したクチですw
工兵のように、立華という可愛いセンパイが一緒ついてくれているのであれば随分マシな状況で、私の場合、単身派遣先の企業に送り込まれ、派遣先の上長のもとで仕事を行うことに…。
当然うまく仕事をこなせるわけもなく、また派遣先からすれば自社の社員でもないわけなので、「教育」なんて発想があるはずもなく、ひたすらブチギレられ、罵倒される日々でした。
「できることなら今すぐ辞めたい」
毎日そう思いながらも、「生活のためにはやめられない」という気持ちがあったので、結局は派遣先へと向かっていました。
(その後、そのプロジェクトからは離れることになったのですが、最初のプロジェクトと顧客がそんな感じだったので、そのあとのプロジェクトや顧客は、どこに行っても天国でしたw)
そんな状況に陥っても逃げることなく戦うことができたのは、この作品で、同じく辛い状況に陥り、逃げ出そうとした工兵に投げかけた立華の言葉があったからです。
今巻の刺さる!名言
その言葉とは、
「今日逃げた人間は、明日も逃げると思われる」 by 室見立華
です。
この言葉、いま思えばすごく深いのですが、この業界で逃げ出す人というのは珍しくありません。
多くの人はメンタルが強いわけではないので、プロジェクトが危うい状況になると、口八丁でその場から逃げ、最後の最後の工程になって問題が露見し、そしてよりひどい状況へ陥るという負のループを繰り返した結果、プロジェクトから逃げ出します。
このように「逃げた人」というのは、よほど人が足りていない会社ではない限り、2度とプロジェクトの中核を任されることはありません。
そりゃ、逃げた実績のある人を使おうとはならないですよね?
また同じことを繰り返されたら、困るのはそれをリカバリする周りの人間ですから。
そして、一度逃げた人はその会社では二度とプロジェクトを任されることはないので、会社を辞めていくか、業界からも去っていくことになります。
なので、
「この会社でやっていく」
という覚悟がある人間ならば、逃げるという選択肢はハナっからないってことなんですよ。
作品の中で立華は、先の名言を投げかけたのち、
「あんた、この会社でやっていく気があるの?ないの?」
と投げかけます。
まさに工兵の覚悟を問うための、 「今日逃げた人間は、明日も逃げると思われる」 というセリフだったわけですね。
OJTの結末は…?
このあとなんだかんだあって工兵は奮起し、「打倒・室見立華」を掲げて、OJT期間を全うすることを自身の心の中で誓います。
その後、OJT期間を満了したときどうなったのかは、ぜひ作品を読んで確かめてみてください。
(2巻が出ているということは、結末がどうなるか大体わかってしまうと思うんですけどね…)
感想
作品の始まりとして、未経験からSEとして働き始めた人ならば全員が通る道であろうOJTがテーマなので、この先も工兵が成長していく過程が描かれるんだろうな、という予感を膨らませる展開です。
この後の作品においても、エンジニアとして働いたことのある人であれば経験するであろう事件が描かれており、事件ごとに自身が先輩や上司からかけられた言葉を思い出すことでしょう…。
余談ですが、この作品を読んだことがある人ならば、多くの人が分かる~と言ってくれそうな気がするのですが、登場人物の声が、
工兵→cv.浪川大輔さん(実際は石川界人さん)
立夏→cv.釘宮理恵さん(実際は東山奈央さん)
カモメ→cv.堀江由衣さん(実際も堀江由衣さん!)
で再生されることと思いますw
(カッコないは、ドラマCDでのキャスト)
大好きな作品なので、推しシリーズ単体で終わらせず、今後も1冊ずつ展開を紹介していこうと思います。
以上、『なれる!SE ~2週間でわかる? SE入門~』の感想・レビューでした。