こんにちは、Kanon です。
皆様は年の瀬をどのようにお過ごしだったでしょうか?
私は基本的には貴重な長期休暇ということで、普段以上にシステムエンジニアとして自己研鑽に励んでおります。「ひとり合宿」と称して、絶賛勉強漬けの毎日でした。
そんな毎日の中で楽しみにしていたのが、勉強の合間や寝る前の読書の時間。
ラノベが結構積まれてしまっているので、徐々にですが消化していこうとしていたところ、思わぬところで積まれた本とは別の出会いが…
それはかなたさんという方のとあるtweetでした。
ブックオフ来店中。
— かなた@ラノベ感想&紹介便 (@kanata0118) December 25, 2021
大買取祭で150円サービス券貰えたので1冊くらい買うかとラノベ棚見てたらこれを見つけました。
BOOK☆WALKERの読み放題対象にはなっていたなかったですし、あらすじでビビッときたので買います! pic.twitter.com/3FlvpylJn4
U35先生の美麗なイラスト。そして樹戸先生の付けられたタイトル…
僕の琴線にビシビシ触れまくってます。
さっそくkindleを開き、ぽちっと。
2日で読んでしまいました。
というわけで、今回は『優雅な歌声が最高の復讐である』の感想を述べたいと思います。
あらすじ
主人公・荒牧隼人はサッカーの高校の世代別代表選手だったが、ケガをきっかけにサッカー選手になる夢をあきらめてしまいます。
サッカー一筋だった隼人は、それまでの生きる目標を失ってしまい、無気力人間になってしまいます。
そんな無気力状態のなか、アメリカのトップ女性シンガー・RUKO(倉嶋瑠子)が隼人の学校へ転入してくることになり、2人は春休みの学校で出会うのです。
が、そんな2人の出会いは衝撃的なもので、お互いのその後の関係に大きな影響を与えることになります。
隼人は極力、瑠子とは関わらないように努めます。
しかし、関わらないように努めるということは、逆にその存在を意識しなければならないわけで、隼人は瑠子の様子を窺うようになるのですが、どうやら瑠子には秘密があるようで…?
といった感じです。
所見
あらすじの内容は序盤の展開ですが、よくあるボーイ・ミーツ・ガール的なものですね。
個人的な見解として、ボーイ・ミーツ・ガールの始まりはいくつかのパターンがあると思っています。
それはお互いの好感度の初期値のパターンです。
お互いの好感度(「♂ ♀」)が「+ +」「+ -」「- - 」「- +」のどれになるかでその後の話の展開が変わってくると思っています。(-は0も含みます)
そして多くの場合は好感度が「- - 」で始まり、お互いに絡みが発生することにより、「+ -」あるいは「- +」となり、最後には「+ +」になって物語が終わるというのがボーイ・ミーツ・ガールの王道だと思っています。
例えば交響詩篇エウレカセブンとかの場合は、「レントン エウレカ」:「+ -」の状態からスタートなので、これは上のパターンとは異なります。ただ、最終的なゴールは「+ +」か「- - 」を目指す状態がほとんどで、「+ +」を目指すのが王道のラブコメ。「- -」を目指すのが悲愛もの、という感じです。また、初期状態が「+ -」(「♂ ♀」)のものは、男性向け。初期状態が「- +」(「♂ ♀」)のものは女性向け。という風にパターンわけができると思っています。
そして、ただの恋愛感情の変遷を描くだけだと他の作品との差別化にならないので、ボーイ・ミーツ・ガールには往々にして、恋愛感情の変遷とは別のテーマ(作者の描きたいこと)が含まれていることが多いです。
例えば杉井光先生の「神様のメモ帳」の場合、「ボーイ・ミーツ・ガール×謎解き」
例えば鴨志田一先生の「さくら荘のペットな彼女」の場合、「ボーイ・ミーツ・ガール×夢を追いかける若者」
という塩梅です。
では、『優雅な歌声が最高の復讐である』の場合はどうかというと、「ボーイ・ミーツ・ガール×人生の目標を失ってしまった人間がどう生きるか」だと個人的には思いました。
ストーリは好感度が「- -」の状態から「+ +」に変わっていくような展開になるのですが、その過程で「人生の目標を失ってしまった人間がどう生きるか」というテーマが隼人と瑠子の二人に大きな影響を与えていきます。
感想
今年読んだ作品だと、筏田かつら先生の『君に恋をするなんて、ありえないはずだった』に次ぐ読後の余韻が良い作品でした。
本作のタイトル『優雅な歌声が最高の復讐である』ということとあらすじから、瑠子の抱える秘密がなんなのか大体の察しがついてしまうかと思うのですが、このタイトルが良いストーリを展開していくことを意味しているのか、はたまた悪いストーリーを展開していくことを意味しているのかを、最後の最後まで楽しむことができました。
また私が恋愛模様とは別の本作のテーマだと考えた、「人生の目標を失ってしまった人間がどう生きるか」についても、とても共感できるものがありました。
ボーイ・ミーツ・ガール好きな人には、とてもお勧めな一冊です。