シリーズ第1巻 レビュー 電撃文庫

"その笑顔は、冬の日に差す陽の光" 『ひだまりで彼女はたまに笑う。』感想

電撃文庫 2021年6月10日 発行

こんにちは、Kanon です。

今回は、『ひだまりで彼女はたまに笑う。』の感想です。

この作品、twitterでたくさんの方が紹介されていて、そのほとんどの方がとてもおススメしている作品でした。

なので、購入してから読むのをとても楽しみにしていたのですが、案の定、期待を裏切らない読後感でした!

また、後から知ったのですが、作者である高橋徹先生は『IDORY PRIDE』の一部シナリオも担当されているそうです。

『IDORY PRIDE』は全話見ていて、とても面白く、そんな作品のシナリオも担当されているとのことで、とても期待感が高かったのですが、『ひだまりで彼女はたまに笑う。』も期待感を裏切らない仕上がりでした。

そんなわけで、さっそくあらすじからご紹介したいと思います。

第2巻についてはこちら!

 

あらすじ

主人公の"佐久間伊織"は人懐っこく、人の笑顔を見るのが好きな性格。

そんな伊織は高校生活初日の朝、桜の木を挟んで猫と相対するひとりの女の子を見かける。

女の子に近寄ろうとする猫に対して、女の子のほうは困惑気味に、

「こっちにきちゃだめにゃー」

と語りかける。

タイミング悪く、伊織はそんな不思議な光景を目の当たりにし、女の子も伊織に見られていることに気づく。

ーーそれが伊織と女の子、"涼原楓"の出会いだった。

その後、伊織と楓は同じクラスになるのだが、先述の場面を覗き見されたことに警戒心を抱く楓は、伊織と直接話そうとしない。

伊織の発言にクラスのみんなが笑うなか、楓だけはクスリとも反応しないのである。

そんな楓を見た伊織は、なんとか彼女の笑顔を引き出そうと奮闘を始めるのであった。

 

所見

私の大好きな、ボーイミーツガールもの!

そんなわけで、あらすじを見ていただければお分かりかと思うのですが、本作。

私の大好きな"ボーイミーツガール"ものです。

しかも王道も王道、学園ラブコメのボーイミーツガールですね。

で、ヒロインの初期値がマイナスから始まるタイプのボーイミーツガールものです。

この好感度がマイナスからスタートするパターンのストーリーの多くは、吊り橋効果によって二人の距離が近づいていくものが多いように思えます。

要は、危機的状況に偶然にも主人公とヒロインが巻き込まれることになり、そんななかでお互いの知りえなかった一面を垣間見ることで、好感度が上昇するというパターンです。

現実に等身大な主人公に共感できる!

しかし、この作品では、とても大きなトラブルというのは基本的には起こりません。

主人公は底抜けにお人好しで、真正面からヒロインのことを笑顔にしようと試行錯誤するんです。

そんな主人公の姿は、とても現実にいる男の子と等身大というか、恋をしたことがある男子はだれしもそんな気持ちになったことがあると思うので、主人公の姿にとても共感できるはずです。

それが、現在進行形で好きな人がいる学生の場合、「わかるわかる」という気持ちでストーリーを楽しむことができるだろうし、いま大人なあなたも、「そんなことあったな~かわいいな~」と微笑ましいような気持になれると思います

そして、この巻の最後の最後で、ついに二人の仲が進展するようなイベントが発生し、それまでの主人公の努力が実を結ぶ、といったストーリー構成になっています。

なので、徐々に物語のボルテージが上がっていくというか、緩急のあるストーリー構成なので、最後の最後で読者の胸をときめかせてくれるような展開がとてもよいです。

会話のテンポが小気味いい!

また、この作品はキャラクター同士の会話のテンポが小気味いいです。

個人的に読後の満足感が足りない作品の特徴の一つに、「会話が不自然であること」という特徴があります。

しかし、この作品のキャラクターの会話はとても自然で、地の文なし、キャラ同士の会話だけを読んでいっても、ストーリーの大枠が分かるのではないかと思えます。

その点について、あとがきにて高橋先生が言及されていて、

「一組の男女がよーいドンでおしゃべるする」というシンプルな状況で、面白かったり、可愛かったりするやりとりが延々と描けるキャラ作りが最強……という信念のもと、キャラクターのトーク内容について日々考えてもがいてます。

高橋徹『ひだまりで彼女はたまに笑う。』, 電撃文庫 2021年6月10日 発行, 238ページ

というような努力をされているようです。

感想

全体的な感想として、やはり多くの方がおすすめされているとおり、とても満足度の高い作品でした。

自分が学生でなくなってからはもう10年近く経とうとしているのですが、「あの頃、自分もそうだったよな…」という甘酸っぱい気持ちを思い出したり、自分の言動に対して好きな子が笑ってくれた時の、あのなんとも言えない高揚感・満足感を、この小説の伊織と楓を見て想起させられました。

けどあの頃にはもう戻れないという現実を知って、つらくなりました(泣)

やはり、完成度の高い学園モノのボーイミーツガール作品というのは、読んでいると自分が学生だったころの"匂い"がしてきて、なんとも言えない気持ちにさせてくれますね。

2巻も発売されていて、すでに購入済み!

早く読みたいな。

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