
こんにちは、Kanonです。今回は…

平坂読先生の『妹さえいればいい 14』の感想記事です。
あらすじ
青春ラブコメ群像劇の到達点、堂々完結!!
「アンチも編集者も俺以外の売れっ子も全員爆発しろ!」
作家としてブレイクし、愛する人と結婚し、父親となっても、人は(特に作家は)そう簡単に聖人君子のように生まれ変わったりはしない。
羽島伊月は今日も荒ぶりながら小説を書く。
そんな彼を生温かく見つめる妹の千尋も、報われない片想いにいい加減疲れていて――。
伊月、千尋、京、春斗、那由多、アシュリー、海津、蚕、刹那、撫子……時を経て大きく変わったり変わらなかったりする主人公達が、それぞれに掴む未来とは!?
青春ラブコメ群像劇の到達点、堂々完結!!
『妹さえいればいい 14』平坂読 ガガガ文庫 2020年2月23日 発行 より引用
ネタバレあり感想
最後の言葉は、「かかってこい」
あとがきにも書かれていたように、最後の言葉は「かかってこい」と決めていたそうですね。
最終話の伊月のスピーチもこのセリフにつなげるためにあったような感じですね。
前巻あたりから那由多が小説を書いている詳しい描写がなかったのですが、最後の最後で伊月のライバルとして出現させるための伏線だったのですね。
このセリフは主人公を目指していた伊月が自信をもって自分が主人公と思えるようになったからこそ言えるんだと思います。
シリーズの最初から最後まで一貫して伊月は主人公らしい主人公でした。
そして最後の最後でぷりけつとのタッグが再結成される展開もまた熱かった…
京と春斗
このふたりもようやく収まるところに収まりました。
伊月・千尋の羽島兄妹の後押しでようやく関係を進展させることができたふたり。
そして別の物語『〆切前には百合が捗る』にて京が春斗との同棲に際して「あのシスコン野郎」と毒づくシーンがあり、「『妹さえいればいい』でそんな話してたっけ…?」と思っていたのですが、最終巻できちんと描かれてましたね。
しかも春斗の妹が長年秘めてきた恋愛的な気持ちも告白されたことも描かれていて、劇中で京も言っていましたが「まさかの隠しボスが…」という気持ちにさせられました(笑)
このふたりの恋愛はまだまだ前途多難ですね…
このふたりのその後を最後まで見てみたいと思うと同時に、この「なかなか進展しない焦れったさ」こそが春斗・京カップリングの特徴だとも思うので、この終わり方が正解な気もします。
総評
この作品、結局主な登場人物が全員主人公でしたね。
そのなかでもスポットを伊月に当てて、他の個性の強いキャラの中に埋もれることなく存在感を発揮できていたのがすごいと思いました。
青春群像劇系の作品に必要なものって、「どのキャラクターにも誰かが共感できる物語」が必要だと思うんですよ。
青春群像劇が万人受けしやすいのは、登場人物の誰かに共感できるからこそ、受け入れられる人の数が増えるんだと。
そのためにはタイプの違うキャラを作って、深堀していかないといけないはずなのですが、どうやってそんなキャラを作るんでしょうね…
「作るのではなく、気づいたらそこにいたのだ…」
みたいな感じなのでしょうか(笑)
そういったお話、平坂先生に聞いてみたい。
以上、『妹さえいればいい 14』 感想 レビュー ネタバレでした!